5 福島第一原発事故は必然

福島第一原子力発電所の事故について、色々と調べてみました。
福島第一原子力発電所の事故については、想定外とか想定が
甘かったかとの議論があると思います。でも、私は必然的に起こった
と考えます。原子力発電所によって地殻にエネルギーが溜まり、その
エネルギーが地震で解放され、大きな津波を引き起こし放射性物質
ばら撒き事故になったと!
 「猫」の結論は、原発の巨大な熱エネルギーの影響を考慮しない
設計を起こったがために起きた、完全なる東京電力の過失であると


女川原子力発電所は助かったのに、福島第一原子力発電所はつぶれた。
 女川原子力発電所と福島第一原子力発電所は今回の地震で、ともに大きな津波
を受けました。でも、女川原子力発電所はあまり大きな被害は出ていない(1)のに
福島第一原子量発電所ではメルトダウンが起こり、放射性物質をばら撒いてしまい
ました(1)。そこで、「猫」なりに何が違ったか、調べてみました。
@ 福島第一原子力発電所の津波想定は3.1m
 2011年3月の福島第一原子力発電所のばらまき事故以前にどのような
津波想定をしていたかが、日本がIAEAに出した報告書のV−28に
「(福島第一原子力発電所の)設置許可申請書では、図III-2-6に示すよう
にチリ地震(M9.5、1960年)を対象波源とし、設計津波水位を3.1mとしている。」
とあり、津波の高さを3.1mと想定していると思います。引用されている
図V−2−6は以下のようなものです。日本語の部分は図が英語なので
日本語を「猫」が追記しました。
 
※政府のIAEA報告書(1)より引用

図V−2−6を見ると1938年福島県沖地震と1960年のチリ地震津波の
データで津波を想定していることになります。福島第一原子力発電所の
設置許可申請は1966年に出されています(2)ので、この時点では津波の
評価も終わっています。30年程しか遡って地震や津波の評価をしなかっと
になります。2011年までは1.5倍の45年が経過しています。30年前まで
しか調査しなかったのですから、その後の45年で1回位は想定外の地震や
津波があっても不思議ではありません。
A 女川原子力発電所の津波想定は9.1m
 女川原子力発電所の津波想定は、「設計津波水位は、設置許可申請書で
は慶長三陸地震(M8.6、1611 年)での9.1m<中略>となっている。」と、政府
がIAEAの提出した報告書のV−40頁にあります。女川原子力発電所の
建設は1980年に始まっています(3)ので、それまでに津波の評価が終わ
っていると思いますが、おおむね400年近く前まで遡って調べたことになります。
 女川原子力発電所の津波評価の概要は公表されています(4)。以下の図は
この資料の5頁目に、福島第一原子力発電所の位置などを「猫」が付け加え
ました。

 
で囲んだ部分を見てください。1611年の津波は、福島第一原発と女川原発の中間
当たりで起こっています。、この津波をもとに女川原発の津波の高さを9.1mにするなら、
福島第一原発も9.1m設定すべきはずです。
 
B 2011年に福島第一原発を襲った津波は、「想定外」でなく「想定ミス」
 福島第一原子力発電所が、津波で放射性物質をばら撒いたのは、想定外の津波が
来たからでなく、津波の想定が甘く、十分に津波対策をとっていなかったからだと「猫」
は、思います。同じような津波が福島第一原子力発電所と女川原子力発電所を襲い
ましたが、女川原発はある意味助かり、福島第一原発は大変な人災を引き起こしました。
福島第一原発の、最大の事故原因は、津波の想定をまともにせず、十分な対策を取って
いなかっただかだと「猫」は思います。地震のあと女川原発は近隣住民の避難先になった
そうです(3)。福島第一原発は多くの住民を避難させ、女川原発は避難先になりました。
 そして、不思議なことがもう一つあります。福島第二原子力発電所は、福島第一の近く
ですし、海底地形の差があるとは思えないので、想定される津波の高さは、福島第一と
それほど変わらないと思いますが、想定津波の高さは2m以上高い5.2mでした(11)。

福島第一原子力発電所の事故は必然
今回の地震の津波は、確かに400年前に遡れば起きているので、偶然におこることもあるかと
は思います。福島第一原発が、運転を始めたのは1971年3月(2)です。丁度、40年目の3月
に地震が襲いました。こんな偶然ってあるでしょうか?柏崎刈羽原子力発電所を襲った、中越
沖地震は、原子力発電所が引き起こした可能性を既に書きました(原子力発電所と災害) が、
福島第一原子力発電所を襲った地震も、福島第一原子力発電所そのものが原因の一つであり
福島第一原子力発電所は津波を避けられなかったのではないかと。
そんな可能性を「猫」なりに考えてみました。
@ 東北太平洋沖地震は、茨城県沖でも揺れを発生させた。
地震は震源があり、震源の当たりが爆発して、周りを揺らすイメージがあります。でも
実際は、あちらこちらで地層が動き、揺れとなって伝わって行くみたいです。言い換えると
地震の揺れの発生(すべり)は空間的にも時間的にも広がっています。気象庁ではそうした
揺れの発生(地層の動き:すべり)の時間的な変動や、空間的な広がりを発表していますし、
また、そうした図の見方も説明しています(5)。
 下の図は、すべり(断層が動き、揺れが発生すること)の空間的広がりを示します。図は、
気象庁の資料に、時間的な動きを示す矢印と、原発の位置を「猫」が追記しました。概ね
@→A→Bの順で、すべりが発生しています。


この図をみると、福島県沖で、揺れの発生源が福島第一、第二原子力発電所に向かって
いるような気がします。
A なぜ、福島県沖ですべりが原子力発電所に向かったか
 「猫」は原子力発電所は地震を発生させるエネルギーを地殻に溜め込ませているとと思い
ます(くらしくは原子力発電所と災害をみてください)。福島第一、第二を合わせて、
 マグニチュード 6.8
との計算結果を得ています。福島原子力発電所近くの地殻には、マグニチュード6.8相当
のエネルギーが溜まっていたと思います。三陸沖ではたびたび地震が起こります(7)。でも
三陸沖に留まり、福島県沖までは伝わりませでした。しかし、東北太平洋沖地震は違いまし
た。福島県沖でも「すべり」が起こり、茨城県沖へと伝搬していきました。なにか、新しい事が
起きたと思います。それは福島第一、第二原子力発電所の熱で地殻に溜まったエネルギー
があったらだと思います。
B 福島第一原子力発電所では、津波が高かった
 以下の図は、東北太平洋沖地震での津波を、原子力発電所での高さを含め記載しました。



出典は(8)(9)(10)(11)、原発位置は「猫」が追加
図−東北太平洋沖地震の津波高さ

ところで、原子力発電所ではどうでしょうか
 女川は、13mで、近隣の観測点(石巻 鮎川7.6m以上)とそんなに変わりありません。
 東海第2は、5.4mで近隣の観測点(大洗 4.2)で1m程度高くなっています。
 福島第2は6.5〜7mで近隣の観測点(小名浜3.3m)の倍です。
 福島第1は14〜15mで近隣の観測点(小名浜3.3m)の4倍以上です。
福島第一原子力発電所で異常に高くなっています。そこで海底地形図を見てみました。


原子力安全保安院による(11)。

図 福島第一、第二原子力発電所付近の海底地形

特に津波を大きくする要素はないようです。一つ考えられるのは、福島第一原子力発電所
の近くの地殻にエネルギーが蓄積されいて、地震と同時に解放され局所的な津波を引き
起こしたと…

C 福島第一原子力発電所の放射性物質漏えいは必然であった。
 三陸沖の地震は概ね40年に1回の割で起こるみたいです((7)より集計)。この前の地震
は原発事故の43年前(1968年)の十勝沖地震でした。この時、福島第一原子力発電所は
まだ動いていませんでした。その後、福島第一、第二と発電所が動きだし、福島の地殻に
地震エネルギーを溜め込みました。そして、三陸沖で地震が起こると、原子力発電所の
近くに溜まったエネルギーも解放されて、これまでにない大きな津波を発生させたと思います。
しかし、津波や地震の想定は、過去の例で行われました。これでは、原子力発電所が耐えられ
るはずがありません。
 福島第一原子力発電所の事故は、想定外でなく必然であった。
これが「猫」の結論です。


参考にさせていたいたサイト様
'(1) 原子力安全に関するIAEA閣僚会議に対する日本国政府の報告書(6月)
(2) 福島第一原子力発電所 - Wikipedia
(3) 女川原子力発電所 - Wikipedia
(4) 女川原発における津波に対する安全評価と防災対策
(5) 気象庁|遠地実体波を用いた震源過程解析解析のページの見方
(6) http://www.jma.go.jp/jma/press/1103/25b/kaisetsu201103251730.pdf
(7) 三陸沖地震 - Wikipedia
(8) 東北地方太平洋沖地震
(9) 「発電所だより(8月号)」を掲載しました。(2011年 8月10日)
(10) 福島第一原子力発電所事故 - Wikipedia
(11) 福島第二原子力発電所 津波の調査結果
(12) 東海第二発電所 - Wikipedia
(13) 平成23年東北地方太平洋沖地震により 発生した ... - 原子力安全・


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