3 放射線と健康 |
放射線を浴びたら、健康にどのような影響がでるか、 福島県や福島県内の主要都市では、毎月の死亡者数 を発表しています。死亡者数が急に増えれば、その地域 には、なにか健康に対する異常が発生したことになります。 だとすれば、東京電力は放射性物質を流失させる以前の 2010年2月までと、流失させたあとの2011年のデータ を見れば、ある程度は放射線の健康に対する影響が見え てくると思います。 |
1 | 1mSvの積算線量で3日、寿命が縮む | |
「1mSvの積算線量で3日、寿命が縮む」。これがこのパラグラフの結論です。 以下に詳細に説明します。なお、この数値は2011年10月6日までに、福島 県や福島市が発表したデータをもとに集計しています。データの発表は、今後 もあるので、今後、数値は少し変わると思いまうが基本は変わらないと思いま す。 |
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① | 死亡者は積算線量に比例して増えている。 | |
まず最初に下の図を見ていただたいと思います。 福島県が公表している2011年と2010年の福島県内各地域の死亡者数(1) から、放射性物質汚染前(2010年)にくらべ、汚染後に、死亡者が増えた割合 と、各地域の代表都市の積算放射線線量を比較したものです。 全体的な傾向 として、積算線量が増えるのに比例して死亡者が増えています。 これは、 放射線は寿命を縮める効果がる と解釈すれば、簡単に説明できます。各地域の死亡率の絶対値は、人口構成に より大きく変わります。高齢者の多い町では、死亡率が高いでしょうし、若い人が 多い町では、死亡率が低くなると思います。でも、死亡者の増えた割合なら、ある 町で、死亡者が増える要因が増えていることになります。それは「寿命を縮める」 効果に相当すると思います。死亡者の増加率から、どれくらい寿命が全体として 寿命が縮まったか計算できる筈です。 たとえば、集計期間を3月1日から7月31日の152日間とします。汚染前の前年 (2010年)に比べ、汚染後の当年(2011年)で、死者が11.5%増えたとします。 縮まった寿命は152×11.5÷100=17.5日になります。そして、そこ効果が 放射線の積算線量におおよそ比例しているのであれば、放射線によると考えるの が自然だと思います。 ※1 積算線量は、各地域を代表する町の放射線量を福島県が発表しています ので、そちらのデータを元に(2)独自に集計しました。必ずしも平均値では ありません。 ※2 福島県の海岸部については、津波被害もあるので集計からの除きました。 ※3 震災の被害者は福島県が発表している数値(3)があので除きました。 ※4 割合は人口減少を補正するため、死亡率で計算しました。 |
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② | 縮まった寿命と積算放射線量の関係を計算してみる。 | |
①のデータをもとに、積算放射線量と縮んだ寿命の日数の関係を計算してみまし た。結果は以下の通りです。 積算線量1mSvで寿命が3日縮むとの結論になりました。放射線の人間に対する 作用はもっと複雑だと思っていたので、あっけない結論でした。 |
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③ | 福島市のデータからも、積算線量1mSvで3日寿命が縮む | |
福島市では、震災以降も毎月の死亡者数を発表しています(4)。2011年3月から このページを起稿した時点で発表のあった、2011年8月の半年間、死亡者数は 汚染前に比べ増え続けています。そこで、同じようにプロットしてみました。 おおむね、積算放射線量1mSvで、3日寿命が縮まるとの結果です。 1mSvの積算線量で3日、寿命が縮む これが、このパラグラフの結論です。もし、空間放射線量率が1μSv/hの所に 1年間住むと、1月弱寿命が縮む計算になります。 これは福島県のデータですが、福島県にお住まいの方は、被ばくを避けるため に室内にいることが多いと思います。文部科学省の資料に「屋外3.8μSv/時間, 屋内(木造)1.52μSv/時間である。」との記述があります(5)。これから、推察 するに室内では、室外の40%(1.52÷3.8×100)になると思います。積算線 量外部で計られたものなので、被ばく線量としては40%になります。すなわち、 積算放射線量1mSvは、被ばく放射線量に直すと0.4mSvになります。すなわち、 0.4mSvの被ばくで3日 寿命が縮む計算になります。 |
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2 | 放射線が寿命を縮めるとの理論的説明 | |
データから、放射線が寿命を縮めるとの理論的な説明は可能でしょうか?とゆうよりは 近年の分子生物学などから、必然的に導かれる結論であると思います。 |
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① | 老化とDNA修復 | |
DNAが傷がつくことは、私たちの日常で常に起こっています。だけど、壊れたDNA を直す機能があります(6)。でも、DNAの傷がどんどん溜まると、DNAを直す機能が 力を失いDNAの傷が細胞の中で蓄積していき、体の機能が衰えたり、癌になったり するそうです(7)(8)。老化をDNAの傷の蓄積で説明できます。 |
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② | 放射線はDNAを傷つける。 | |
放射線はDNAを傷つけます(9)。放射線によるDNAの傷とそれ以外の原因で発生 した傷の作用が別々に働くとは思えませ。放射線で、DNAが傷つけば、その傷は、こ れまで蓄積された傷に加わるだけだと思います。だから、放射線は老化を促進する。 すなわち、寿命を縮める効果があると理論的に考えることができると思います。 |
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③ | 寿命が尽きるのに必要な放射線量はどれくらい | |
4000mSvの被ばくで、50%の人が亡くなるそうです(10)。4000mSvが、人の 寿命が尽きる放射線量であると思います。福島県の平均寿命は男性78.61才、 女性85.67才です。平均すると、82.14歳です。4000mSvは82.14年の寿命 を縮める放射線量だと思います。すると0.4mSvでは 82.14×365(1年の日数)÷4000×0.4≒3日 になります。1の③で福島県のデータと一致します。とても偶然とは思えません |
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3 | 広島・長崎のデータと整合性について | |
100mSv以下の被ばくでは放射線による障害は確認されていない(12)のに、積算放 射線量でその10分1以下で、放射線の影響が確認できる筈がないとの考えもあると 思います。これについて、私の考えを書いてみたいと思います。 |
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① | 放射線の影響はどのよう調べられたか | |
現在の放射線障害の基本となるデータは広島や長崎の原爆投下後の調査 データです(13)。原爆投下後、アメリカはABCCを設立し、そこで調査を行った みたいです。その後、ABCCの放射性医学総合研究所になったそうです(15).。 広島・長崎の原爆の影響調査の最終報告書は1987年に出されています。 最終報告書は原爆投下後40年で出ていますので、広島や長崎の被爆者の 追跡調査は40年位で終了しています。 |
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② | 原爆投下当時はみなさん若かった | |
以下に福島県・長崎県そして広島県の平均年齢の推移を示します。 ※データは平成17年度国勢調査により(16) 原爆が投下された1945年の平均年齢は27歳程度です。言い換えれば、放射線 被害の調査は、若い人に偏ったと思います。その後、40年追跡調査をしても67歳 程度までしか追跡できません。 |
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② | 高齢にならないと死亡率は増えない | |
以下は、福島県での年齢別の生存率を示します。 ※福島県発表データによる(11)。 全体の生存率が80%にまで下がると急に生存率が低下しているような気がし ます。生存率が80%未満になる年齢は、男性で70歳、女性で80歳程度です。 原爆被害者の追跡は、平均年齢67歳で打ち切られているので、死亡率が 上昇するとゆうデータは出にくくなっていたと思います。 |
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③ | 癌は高齢になって発病する | |
以下の図は、人口10万当たりの年齢階層別の癌の罹患率を示します。 ※データは、財団法人がん研究振興財団による(17) 30代後半くらいから増え始め、その後年齢とともに増えていきます。広島・長崎 の被爆者調査で分かった結果は 「白血病以外のがん(固形がんと総称し、乳がん、甲状腺がん、食道がん、 結腸がん、胃がん、肝臓がん、肺がん、卵巣がん、皮膚がん、膀胱がんなど)は、 被ばく後10 年目ぐらいから増加が始まります。」(13)。広島・長崎の被爆者の 10年後の平均年齢は37歳くらいだと思います。丁度、癌になる人が出始める ことだと思います。その後も増えて40年後にピークになったような図がありました (13)。放射線によるDNAの傷で、普通の人より少し早く癌なんど症状が 出る人が出て、結果として原爆被爆者の癌の罹患率が高まったと思います。 |
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④ | 広島・長崎の被爆者に症状があまり出なかったの若かったから | |
原爆が落とされた当時、長崎県や広島県の平均年齢は27歳程度だと思います。 放射線がDNAを傷つけるものですが、DNAの傷の障害は、「通常の加齢による DNAの傷」+「放射線によるDNAの傷」の合計が耐えられなくなる値を超えると 初めて症状して現れると思います。広島や長崎の被爆者調査は40年で打ち切ら れているので、平均67歳で追跡調査は終わっていると思います。DNAの障害に よるし死亡が顕在化するいは、70歳以降なので、あまりよいデータは得られないと 思います。一方、福島県も含め、日本は高齢化しています。福島県の資料(18)を 集計すると75歳以上の方が22万人も暮らしています(平成17年度)。これは、 福島県の人口の1割を超えます。それだけ放射線の影響が出やすいと思います。 |
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付1 | 原発事故から1年以上が経過し、人口動態や放射線データも新しくなりました。そこで、2012年 3月末現在のデータを盛り込んだ、見積もりをPDFにまとめました。よかったら見てくだい。 radio23Apr2012.pdf へのリンク |
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付2 | 参考にさせていだいたサイト様 | |
(1) | 福島県ホームページ - 組織別 - 福島県の推計人口 | |
(2) | 福島県ホームページ - 組織別 - 環境放射能測定結果・検査結果関連情報 | |
(3) | 福島県ホームページ - 組織別 - 地震災害情報 | |
(4) | 福島県福島市ホームページ 福島市のご案内 交通・市勢 統計情報 | |
(5) | 文部科学省【福島県内の学校の校舎・校庭等の利用判断におけ る暫定的な考え方について】 |
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(6) | DNA修復 - Wikipedia | |
(7) | 不老不死への科学 DNAの損傷と老化 | |
(8) | Nuclear_DNA_in_Aging.pdf | |
(9) | 放射能とDNA損傷 | |
(10) | 「使用済み核燃料中間貯蔵施設」とは? | |
(11) | 平成20年福島県簡易生命表 | |
(12) | 被曝 - Wikipedia | |
(13) | 放射線の発がん影響について | |
(14) | 原爆傷害調査委員会 - Wikipedia | |
(15) | ABCC-放影研の歴史 | |
(16) | “平成17年国勢調査 最終報告書「日本の人口」統計表(時系列表,都道府県一覧表)”. | |
(17) | 5. 部位別年齢階級別がん罹患率(2005年) (PDF 152KB) | |
(18) | 年齢別人口(平成17年) |
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