6 東京電力の原発は地元に貢献しない

東京電力の原子力発電所は、他の電力会社の発電所と違うところが
2つあります。
@巨大である。
A地元に直接電気を送電していない(すべて東北電力管内にある)
です。ことではAの視点から、発電所の立地先のメリット・デメリット
を調べてみたいと思います。


東京電力の原子力発電所は地元の電力供給に貢献していない。
 発電所の最大のメリットは、電気を作り、みんなが電気を使えるようになることだと、
思います。東京電力は一部を地元の電力会社に回しています。しかし、一方で電気を
使っています。電力不足が深刻な昨今、使っている電力が回している電力を超えて
いれば、メリットはあると思いますが、最初に調べてみました。
@ 原子力発電所はどれだけ電気を使う
 東京電力には、福島第一、第二、そして柏崎刈羽の3の原子力発電所があり
ます。それぞれについてどれだけ、電気を使うか、「猫」なりに推定したいと思い
ます。
a) 柏崎刈羽原子力発電所
 柏崎刈羽原子力発電所の電力消費量のデータを見つけることはできません
でした。もし、ご存じの方がいたら教えてください。でも、二酸化炭素の廃出量
のデータを見つけることができました。2006年で8780t/年です(1)。環境省が、
1kWh当たり、どれだけの二酸化炭素を出してるかを公表しています。それに
よると0.000469トンです。年間の電力消費量は
  二酸化炭素排出量(8780)÷1kWh当たりの排出量(0.000469)=
  =18720682.3kWh
です。1時間に直すと(÷365日÷24時間)と
  2137kW
になりました。

b) 福島第二原子力発電所
 福島第一の発電所の二酸化炭素は排出量は2007年で、65,700トンでした。1時間
の電力消費量に換算すると
 約1.6万kW
です。福島第二原子力発電所の二酸化炭素の排出量のデータを見つけることが
できませでした。福島第一と第二原子力発電所は規模がほほ同じ(福島第一の発電
能力は、469.6万kW(放射性物質ばら撒き事故前)、福島第二は440万kW)です。
c) 福島第一原子力発電所
 福島第一原子力発電所の設備が公表されています(4)。電気容量が書かれていないも
のもありましたが、ある程度の推定が可能です。詳しい推計結果は、pdfにまとめています
ので、興味があればご覧ください。結果だけ書きます。約2万kWです。この数字は、原発
事故後に設置された設備のみなので、他に原子炉を管理する電力が必要でが、事故前
と同じとすると1.6万kWになます。福島第一、第二そして柏崎刈羽原子力発電所を
合わせると、約10万kW程度になると思います。
A 柏崎刈羽原子力発電所は発電設備を壊した
 2011年7月末に福島・新潟豪雨が襲いました。この豪雨により、東北電力の水力発電所が
100万kW分だめになりました。この豪雨の原因は
 a)このあたりでは、過去2回豪雨が起こっているがともに柏崎刈羽原子力発電所が、運転
  中の夏に起こっている。
 b)柏崎刈羽原子力発電所は、2007年より停止し2010年夏までは、停止してたがこの間は
   豪雨が起こっていない。
 c)運転を再開した最初の夏(2011年夏)に豪雨が発生した。
 d)豪雨は柏崎刈羽原子力発電所の東側で、起こっているが柏崎付近は西風が多い
 e)同原子力発電所付近の雨量を2001年以降でみると、同原発の稼働率が高いと高くなり、
  低いと降雨は少なくなる。
との理由から、柏崎刈羽発電所が原因だと思います。くわしくは「原子力発電所と災害」を見て
ください。東京電力の発電所は100万kWもの発電設備にを「ダメ」にしました。
B 東京電力の原子力発電所は、地元の電力の安定供給に役だっていない。
 東京電力が東北電力に送った電気は、110万kWでした(1)。そのうち6万kWは東京電力
自身が使っている計算になるので、実質100万kWです。この夏、柏崎原子力発電所は、止
まっていたら、110万kWを供給するのは無理だったかも知れません。でも、2011年の豪雨
も起こらず、水力発電所が止まることはなかったので、100万kWの発電ができたはずです。
結局は差し引き4万kWになり、実質「0」です。

原子力発電所の立地は経済的に引き合わない
 東京電力の原子力発電所は、地元への電力供給には貢献していません。だったら他に、メリット
がないと、引き合わないと思います。そこで、どれだけメリットがあるか調べてみました。
@ 原子力発電所からどれだけお金がでているか
 地元の市町村は別として、都道府県にはどれくらい入っているか、調べてみました。
新潟県の平成17年の収入で、原子力に関係しそうな収入は
a)核燃料税 2 186 百万円
b)県固定資産税 2 615 百万円
の合計 48億円でした(5)。市町村には、これ以上の金額が入りますが、福島第一原子力
発電所の例で明らかなように、事故がおこれが、被害は原子力発電所がない市町村にも
広がります。だから、都道府県単位で考えるのが良いと思います。
A 柏崎刈羽原子力発電所で、放射性物質漏れがおこれば福島の比でない。
 以下の図は、福島第一、第二原子力発電所にわりと近い「小名浜」での3月12日から15日
の風向きの部分と汚染範囲を比較しています。

図 2011年3月11日から15日の風向き分布と汚染範囲
★風向きデータは気象庁データによる(6)。
★汚染分布は、文部科学省データによる(7)。

殆どが、北北西の風です。原子力発電所から出た放射性物質の大部分は、北北東の風に吹
かれ、海に出たと思います。それでも少しだけ吹いた陸方向の風(南南東や南東)の風で、
放射性物質の一部が、陸に運ばれ大汚染を引き起したと思います。
 でも、柏崎刈羽は違います。以下の図は豪雨のあった2011年7月28日から30日の柏崎
での風向きの分布と、合計の降雨量を図にしています、


図2011年7月28日から30日の風向きと降雨量の分布
★風向きデータは気象庁データによる(6)。
★降雨量の分布は新潟県データによる(8)。

殆どが西風でした。柏崎刈羽原子力発電所の風下の東側で雨が降りました。もし、柏崎刈羽
原子力発電所で、福島第一と同じような事故がおこれば、放射性物質は西風で運ばれ、2011
年の新潟・福島豪雨で雨の降った場所に運ばれると思います。そして、福島の数倍の放射性
物質が陸地を汚染し、人が住めなくなると思います。
 一つの試算ですが、新潟県の固定資産税収入は1821億円です(5)。1.3%の税率とすると
  1821億÷0.013=14兆円
です。もし、柏崎刈羽原子力発電所で福島のような事故が起これば、新潟県の不動産などの
固定資産は使い物にならなくなります。10兆円規模の被害は出ると思います。


B 1つの原子炉は3000年に1回、事故を起こしている。
 世界の原子力発電所は、これまで5機がメルトダウンを起こしています。すなわち、スリーマイル
(9)、チェルノブイリ(10)の各1機、福島第一の3機です。世界では、どれだけの原子炉が動いて
いたか示す図を見つけました。


図 年ごとの稼働原子炉数
★1原子力発電 - Wikipediaによる。
★2日本語部分は「猫」追記

 これをもとに、毎年の原子炉の累積稼働年数と計算し、原発事故の合計をプロットしてみました。


図 原子炉の総稼働年数と累積事故数

原子炉1機あたり、ぴったし、3000年に1回の割で事故が起きています。

B 柏崎刈羽原子力発電所は地震や豪雨を越している。
 すでに1のAで記載した通り、柏崎刈羽原子力発電所は豪雨を引き起こしています。またAの
図を見てください。2011年7月の新潟・福島豪雨は、柏崎刈羽原子力発電所の風下に集中
しています。柏崎刈羽原子力発電所の熱で雲となった海水が風に吹かれ陸に移動し雨になって
います。
 地震はどうでしょうか?下の図は、中越沖地震の余震と原子力発電所の位置関係を示します。



★ 気象庁データ(12)よる。原発位置は「猫」追記

図−中越沖地震の余震分布と、原子力発電所の位置関係

余震の中心に原発があります。下の図は、中越沖地震での地殻の移動量を示します。


★ 国土地理院のデータによる(13)。

図 中越沖地震での地殻変動量

原子力発電所の当たりの地殻移動量が一番大きくなっています。これらの現象は、柏崎刈羽
原子力発電所の排熱で地殻が温まり地震のエネルギーになったと考えれば、説明が付くと
思います。また、「猫」なりに、どれだけのエネルギーが溜まるか計算してみました。実際の
マグニチュード6.8とほぼ同じ6.7でした。計算過程は、jishinNoKeisan.pdf に記載しました。
良かったらみてください。
B 柏崎刈羽原子力発電所は経済的に引きわわない。
 原子炉1機につき、3000年に1回の割合で事故が起こっているのが、これまでの世界の実績
です。柏崎刈羽原子力発電所には7機の原子炉があります。したがって
  3000÷7≒430年
に1回の事故がおこります。事故が起こると10兆円程度の損失がでると思います。1年で当たりに
なおすと、230億円(10兆÷430)になります。年間48億円もらっても割にあいません。
 さらに中越沖地震や、2011年7月の新潟・福島豪雨も柏崎刈羽原子力発電所が原因している
と思えます。中越沖地震の被害は1.5兆だそうです。毎年48億円ではとても引き合いません。
まして電気も供給してくれません。


参考にさせていたいたサイト様
'(1) 知られざる原子力からのCO2排出実態
(2) 環境省 報道発表資料−平成21年12月28日−平成20年度の
電気事業者別実排出係数・調整後排出係数等の公表について(お知らせ)
(3) 福島第一原子力発電所1〜4号機に対する「中期的安全確保の考え方」
に関する経済産業省原子力安全・保安院への報告について(その1)
(4) 東京電力株式会社から当社への電力融通について
(5) 新潟県:第112回 新潟県統計年鑑 2001 (第14章 財政)
(6) 過去の気象データ検索
(7) 文部科学省(米国エネルギー省との共同を含む)による航空機モニタリング結果
(8) 平成23年7月新潟・福島豪雨による被害状況(第3報)
(9) スリーマイル島原子力発電所事故 - Wikipedia
(10) チェルノブイリ原子力発電所事故 - Wikipedia
(11) 福島第一原子力発電所事故 - Wikipedia
(12) 「平成19年(2007年)新潟県中越沖地震」の特集
(13) 平成19年(2007年)新潟県中越沖地震に伴う地殻変動(第2報)|国土地理院


<お願い・注意>
☆このホームページの記載内容(リンク先を含む)については一切の責任を持ちません。
☆記載の内容を利用するか否かはすべて個人の責任でお願いします。
☆上記にかかわらず不明な点、誤り、その他、問題がありましたらご連絡をお願いします。
☆ご意見、ご感想、ご質問を歓迎します。
☆このページにLinkいただいた方で、こちらからのLinkをご許可いただける方は連絡をお願いします。



メール

ブログ

掲示板


inserted by FC2 system