5 放射線をあびたら如何なる?

 放射線で、最も知りたいことは、放射線を浴びたらどうなるかでしょう?
福島のゴルフ場の会員権を持っているけど、怖くてプレーに行けないとか、
福島に転勤命令を受けたけど家族をつれていっても大丈夫かとか
「猫」が調べた範囲で書いてみたいと思います。


,
細胞について
 私たちの体は細胞からなっています。たとえば、筋肉は筋肉細胞から、脳は脳細胞からなっています。
そこで、最初に細胞について見てみたいと思います。細胞を模式的にかくと、以下のような図になります、

細胞の模式図

:Biological_cell.svg による。)
細胞を見ると、その外側に膜でおおわれています。これを細胞膜と呼びます。そして細胞は液体で満たさ
れています。これを細胞気質⑪と呼びます。また中心には大きな核があります。これを、細胞核②と呼びま
す。細胞核⑪の中には小さな核、核小体(仁)①があります。細胞気質⑫の中には、いろいろなものが
詰まっています。すなわちリボゾーム③、小胞④、粗面小胞体④、etc...
 放射線と生物の関係で、重要なのは細胞核だと思います。細胞核の中にはDNAがあります。DNAは
遺伝をつかさどる物質として有名ですが、細胞の指令塔でもあります。すなわち、DNAの情報が細胞核
の外に運ばれ、これに基づき細胞は活動します(1)。


細胞とDNA
 一つの細胞にDNAがいくつあります。人間の場合は46個(22対×2+性染色体2個)です。
これらのDNAにはそれぞれ違った情報が記録されています。たた46個のDNA分子で細胞は動いています。
私たちの体はもともと一つの細胞(受精卵)から分裂してできたものです。ですから、細胞のDNA分子は、す
べて同じ情報を持っています。言い換えると、たた46個のDNA分子に私たち人間の生物としてのすべての
情報が集まっています(2)。そして、46個のDNAは2個一組となって、違った情報を保管しています。人間の
細胞の中にあるDNAは、まとめてDNAと称されているだけで、それぞれが独自の情報を保管してい
ますので、別の構造をもっています。言い換えると、細胞にはほぼ同じDNAは2個しかありません。おなじ情報
を記録する2個のDNAが壊れてしまえば、細胞はそのDNAの持つ情報を失いますので、正常なに機能しなく
なります。

DNAが壊れたら
 DNAが壊れたら細胞は、その指揮者たるDNAを失うので、機能に異常が生じます。DNAが壊れれば、細胞
が死んでしまうこともあるでしょうし、細胞が異常な挙動をすることもあると思います。それだけ大切なDNAです
ので、細胞には傷ついた(損傷した)DNAを直す(修復)機能があります。でも、すべの壊れたDNAを直すことは
できないと思います(3)。
 最近の研究によるどDNAの損傷は老化につながるそうです。老化するれば、発がんもあると思います。DNA
の修復機能が劣る病気があります。たとえば、色素性乾皮症(XP) などがあります。この病気は紫外線で傷つい
たDNAを直す機能が劣る病気です(3)。こうした人の状況を見ればDNAが傷つくとどうなるかを理解もできると
思います。色素性乾皮症については、映画などにも取り上げられていますし、YouTube等でみることもできます
(4)。ドラマなのでそれなりに脚色していると思いますが


放射線を浴びると細胞はどうなるか
 放射線の特徴は、粒子1個はものすごいエネルギーですが、全体ではそれほどおおきなエネルギーではありま
せん。たとえば、セシウム137から出るγ線を温度に換算すると、77億℃程度ですが、エネルギーに直すと
0.02nKcal(0.1pJ)です。この程度のエネルギーでは、細胞にはいいても細胞に火傷を負わすことは、
できません。すぐに、周りの物質で冷やされてしまいます。人間の体は60%が水分です(5)。また、人間の細胞は
8ngです。60%が水だとすると、約5ngの水があります。水1gを蒸発させるには、0.5Cal(Kcal)必要ですので、
セシウム137からのγ線1個が蒸発させることのできる水の量は、0.04ng(0.02÷0.5)で、細胞全体の
100万分の1以下です。ですから、放射線に当たってもすぐに火傷をするわけではありません。
 でも、放射線1個のエネルギーは、とても高いので分子を壊すことができます。分子が壊れても、他に一杯
あれば、影響はありません。での、細胞内で同じDNAは一対しかありません。ですから、放射線にDNAが当れば
、DNAも壊れます。壊れたDNAが修復できなければ、細胞のDNAは壊れたままであり、細胞が機能が欠落しま
す。機能が欠落すれば、細胞が死んだり、癌化したりします。これが、放射線のメカニズムです(7)。

放射線をどれくらい浴びたらどうなる。
 放射線を浴びたらどうなるか、たぶん一番知りたいところだと思います。そこで、いくつかサイトを調べてみました。
一つの目安となるのが、ICRP勧告だと思います。ICRPは
 低線量率の確率的影響に関する名目リスク係数(10-2Sv-1)
 がん 全集団:5.5、成人:4.1
を発表しています。100人の人が1Sv(1000mSv)の放射線を浴びたら、どれだけの人がが癌になるかを示す
単位です。すなわち
  癌になる人数=名目リスク係数×全体の人数×浴びた放射線(Sv)÷100
になります。もし、1000人の人が100mSvを浴びると
  全体で5.5人
  成人だけなら4.1人
が癌になる計算です。

 たとえば福島市の積算線量は、2011年9月末で、8.7mSvです。ほとんど室内にいるとして、実際に被ばくした
放射線量が4割とすると、3.5mSvです。人口は288,540(10)ですので
    5.5(名目リスク係数)×3.5÷1000(被ばく線量)×288,540(人口)÷100=55人
が福島第一原子力発電所の事故で、癌になる計算になります。
 放射線による被ばくの影響は100mSv以下では、明確になっていないそうです。そこで、100mSvを超えた時
のデータを元に、「名目リスク係数」を出し、発がん率と放射線被ばく量が比例するとして計算しているのも事実で
す。ただ、一つの目安になると思います。

また、
 1,000mSvで、放射線による急性障害
 2,000mSvで、5%の人が死亡する
 3,000 - 5,000で、50%の人が死亡する
そうです(11)。


参考にたサイト様
(1)細胞 - Wikipedia
(2)染色体 - Wikipedia
(3)DNA修復 - Wikipedia
(4)めげ「タマ」の日記 放射線を浴びると「タイヨウのうた」になる?
(5)web - とカラダ - 人間の体の60%は
(6)質量の比較 - Wikipedia
(7)放射線障害 - Wikipedia
(8)被ばく線量と影響の現れ方
(9)国際放射線防護委員会(ICRP)2007年勧告(Pub.103)
(10)福島県福島市ホームページ 福島市のご案内 交通・市勢 統計情報 推計人
(11)被曝 - Wikipedia




メール

ブログ

掲示板

ホーム
inserted by FC2 system